司法書士の債権回収の範囲・司法書士の債権回収の実務現場
〜どうすれば最大限の回収ができるのか〜
みなさん 債権回収(貸したお金を返して欲しい、代金を払ってもらいたい、
給料をはらってもらいたい等々)は弁護士の専門の仕事だと思ってませんか?
司法書士でも可能です。
140万円までなら、弁護士と同様訴訟上の代理権があり代理して訴訟上の
行為ができ、督促から強制執行まで特に変わりはありません。
(司法書士法 第3条1項
6号7号
2項 認定司法書士に限る)
強制執行の場合は、司法書士が書面を作成して裁判所に提出するのですが、
依頼者が裁判所に行くことは原則不用です。特殊な場合を除きます。
140万を超える場合でも裁判所に書面作成して提出が出来ることから、サポ
ートが可能です。(司法書士法第3条1項4号)
また、「司法書士は登記が本来の業務、そんなもん任せて大丈夫か?」
とおっしゃるかもしれません。
司法書士の沿革
「司法書士は明治5年司法職務が定められ、代言人(後の弁護士)とともに
司法職務のなかの「代書人」として、裁判所の書面を作成する者として定め
られました。
明治19年登記法が施行され、代書人に登記事務の代理の職務が付与され、
大正8年司法代書人法が定められ、代書人は司法代書人と一般代書人(現
在の行政書士)にわかれました。
昭和10年司法書士法が作成され、このときから司法書士となり、現在に至っ
ています。」
現在は登記業務が大部分の司法書士の業務の大きなシェアを占めています
が、もともと、裁判事務の書面作成が本来業務でした。
(司法書士法制定当時は、裁判所が登記業務を管理していました。
現在は法務局が管理しています)
司法書士は登記だけでなく、債務整理もやっているという認識が浸透してきま
したが、債権回収は知られていません。
平成15年司法書士法改正により司法書士に簡易裁判所の訴訟代理権が付
与されて司法書士が出来る訴訟業務の範囲も広がりました。
140万円までの債権回収であれば督促から強制執行までほぼ弁護士と変わ
らない権能を持つようになりました。
法律上できるかもしれないけど、実際できるの?まかせてだいじょうぶ?
と心配されるかもしれません。
過去、債権回収会社(サービサー:注1)や金融機関(銀行等)等に在職し、
債権回収の実務経験(交渉・督促から訴訟、強制執行の法的手続きに至
るまで債権回収の初めから終わりまで、有担保及び無担保の債権の回収
をおこなってきました)がある司法書士がみなさんの力になります。
安心してご依頼ください。
司法書士の経歴については「司法書士紹介」をご覧ください。
注1 債権回収会社(サービサー)とは、
金融機関等から委託を受けまたは譲り受けて、特定金銭債権の管理回収を
行う法務大臣の許可を得た民間の債権管理回収専門業者です。
弁護士法により、弁護士または弁護士法人以外のものが債権回収業務を行
う
ことは禁止されています。
不良債権の処理等を促進するために「債権管理回収業に関する特別措置法
(サービサー法)」により、弁護士以外の債権回収行為が可能になりました。
債権回収の実務〜最大限の回収はできるのか〜
司法書士の回収実務経験から述べる
「どのようにすれば最大限の回収が出来るのか」
私の過去の債権回収の経験から回収について参考にしていただければと
思います。
担保付の債権で担保から充分回収できる債権や担保の範囲が債権額を
カバーせず、実質無担保債権になっているものや当初から無担保であった
債権について交渉から強制執行まで行ってきました。
只単に「支払え支払え」と電話口でいうだけでは払ってくれません。
(粘り強くしつこく督促することも重要で、これにより払う人もいますが、もと
もと支払い能力が乏しい人には物理的にムリがあります)
支払うと債務者にどんなメリットがあるのか説明する。
(信用情報機関の情報いわゆるブラックリストからはずれて新たな借入がで
きる。
督促や法的手続きにより、資産を差押されたり、信用取引ができなくなると
いうデメリットから免れる、等々)
また現在の収入で現実的に支払い可能な方法を提示し柔軟に応じる
(年金
しか収入がないのに1000万円を一括で払えというのは現実的では
ありません)
その他いろいろな回収の手段方法があります。技術ともいえます。
最大限の回収とは
債権回収していた時期にどのようにすれば最大限の回収が出来るのか考
えていました。
債権回収会社や金融機関(回収部門)では、常に回収率の結果が回収担
当者全員に周知されるところが多いようです。
{ある会社(大手の通信会社の回収部署)に在籍していたときは、成績の
順番ごとにトップから最下位まで毎月はりだされ、最下位のブロックは
赤く表示され、その「ブロックに3ヶ月以上、いた場合には自動的に契約更
新がされない=解雇されるものでした。」
そして成績は変動があるが、上位者にはいつも同じ顔ぶれがあることに気
づきました。
債権は「回収しやすい債権」「しづらい債権」の違いはあり、(債権をファイル
管理していたので、良いファイルが与えられるか悪いファイルかは大きな違
いだった)運不運もありますが、公平に債権が割り振られている以上、多少
の変動はあっても回収能力が高い者は常に安定して上位にいるのです。
そのことから、債権回収は「職人でも腕の上下がある」ように能力には各人
差異がある。
誰がやっても同じように回収できるわけじゃないんだと学びました。
同時に債権回収の実務の現場を通して「法律知識」だけでは、100点満点
の回収は出来ないということを学びました。
100点満点とは、債権額の全額回収ですが、交渉力や法的手続き(保全、
訴訟、執行)の選択、順序(極端な例で言うと訴訟で判決が確定した後に
仮差押しても意味がありません。
現実そんなちゃらんぽらんな回収者はいませんが・・・)
を適切に組み合わせて、最大限の回収を図ることが目標です。
その際にある人が50の回収をしても同じ回収を別の人がしたら70だったとい
うように回収者の技量にかかることが多いのです。
債務者との距離
債務者に対してはむやみに敬遠されてもいかないし、なんでもムリをきいてく
れるお友達になってもいけません
(胸襟を開いてある程度のムリを聞きながら、「○○さんなら他の債権者より
も優先して払うよ」と信頼関係を構築するのは良いのですが、「あの人はこち
らのムリを聞いてくれるから払うのは後回しでいいや」となると回収率は落ち
ます)
債務者とはある程度の距離を保ちながら(遠からず、近からずという微妙な間
)きっちり、支払ってもらう。
そこのところに交渉力がかかってきます。(と私は考えています)
また、法的知識のないものが回収をやってもうまくいきません。
法的知識と過去の交渉経験から「この段階では公正証書だ。
次のステージでは、そろそろ、仮差押だ。」
と現在の段階の明確な理解と次段階に進むかどうかの冷静な分析が重要です。
回収をうまく行うには法的手続きと交渉能力のバランスを保ちながら経験を
活用していくことが大事です。
債権回収の具体事例
債権回収は、具体的にどう進んでいくの?
依頼した場合どのような流れになるの?
債権回収の手続きの流れを具体的な事例を用いてわかりやすく
ストーリー構成にして説明します。