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         債権回収Q&A18

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     Q18 主債務と保証債務の消滅時効


      
〜保証債務の付従性

        保証人の主債務の時効援用〜
      

私(A)はサラリーマンです。

私の友人Bが個人的事情で金銭を貸して欲しいというので最初は断りました。

しかし、Bが保証会社C社に保証を依頼したので、もしBが返済しなかった場合C社が返済の保証をするので貸してくれと再三依頼をしてきました。

私は保証会社があるのならと思い、Bに平成20年1月30日に100万円を貸しました。

同日にC社と保証契約を締結しました。

返済方法は、毎月末に1万円を返済し、1回でも返済を怠れば、全額を一括で返済すると言う約定を入れさせました。

Bは、返済期日の1回目である平成20年5月31日から平成23年5月末日までは(支払わない月もありましたが)約束どおり返済を行い総額35万円を払いましたが、6月末日以降、支払いをせず平成24年1月15日に5000円を支払いましたが、平成28年7月に行方不明になりました。

私はすぐ(平成28年7月)、C社に残金の64万5000円の返済を請求しましたが、C社は「債務者が行方不明の場合には保証できない」といって保証債務の弁済をしません。

そして「そもそも当社と貴方との保証債務はBが返済を怠った時点から5年以上経過しており、消滅時効が完成しているので、当社は支払いの義務はない」と主張します。

C社の主張は正しいのでしょうか?

A18

消滅時効とは

消滅時効とは一定期間、権利が行使されないと権利が消滅する民法で定められている制度です

令和2年4月1日施行された改正民法により、消滅時効の規定も新しく変更されています。

令和2年4月1日以降発生した債権について消滅時効の完成する期間は、「権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時より10年」となります。
(新民法166条第1項)      

「権利を行使することができる」というのは、例えば金銭貸付で支払期日が経過したことにより、「貸金を返してください」と請求できることをいいます。

しかし、令和2年4月1日より前に権利が生じた場合とその日以降に権利が生じた場合とでは、適用が異なります。

令和2年4月1日より前に権利が生じた場合(例:AさんがBさんに令和2年1月1日に50万円を貸した。)は旧法が適用されて改正後の新法は適用されません。
令和2年4月1日以降に権利が生じた場合は、(例:AさんがBさんに令和2年5月1日に50万円を貸した。)新法が適用されます。
(根拠:民法の一部を改正する法律附則10条 1項、4項)

消滅時効の改正について詳しくは「消滅時効/ 民法改正後の消滅時効」をご覧ください。 


下記の説明は、旧法の説明となります。

消滅時効の期間(商事債権と民事債権)

そして民法上、債権(上記では、貸した金銭を返還請求できる権利)の消滅時効は10年です(民法167条1項)

しかし、商行為に関する債権であれば商法が適用され消滅時効期間は5年となります。(商法522条)

商行為というのは例えば銀行や貸金業者(商人)が貸す場合や貸す目的が商行為(例えば事業資金を貸す)であれば商事債権となり、期間が5年となります。

Aさんの場合、Bさんが商人(事業者等)であれば貸付が商行為となります。

またBさんが個人であっても事業を開始するための資金や副業(利益を得る行為)のための資金であれば商行為の貸付となり、商事債権となります。

そしてC社の保証についてですが、C社は会社であり商人ですからC社の保証行為は商行為となりますから、C社に対する保証債権は商事債権となり消滅時効の期間は5年となります。

個人である(商人でない)Aさんが個人であるBさんに貸した金銭がBさんの自宅の家の修繕のための費用であれば、民事上の債権となりますので、消滅時効の期間は10年となります。

この場合、Bさんの債務の消滅時効期間が10年で、C社の債務の同期間が5年となります。


民法改正に伴い「商事債権の消滅時効(商事時効)」も廃止されました。
改正後は、(令和2年4月1日以降に生じた権利の場合)商事債権も民事債権と同様に「権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時より10年」となります。
     (新民法166条第1項)




時効の中断

「消滅時効の中断」とは、進行している時効の期間が中断されることで、中断された時効期間はその後、再びゼロからスタートすることになります。
民法改正により「時効中断」という用語は、「時効の完成猶予、更新」となりました。
詳しくは 「消滅時効の中断」をご覧下さい。

時効の起算点と時効期間の算定

消滅時効の起算点と消滅時効の期間計算の方法について詳しくは「消滅時効の起算点と期間計算」をご覧下さい。

債権の消滅時効は、権利行使が可能なときから起算します。
(民法166条1項)「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」

例えば、Bさんの返済期日を「平成23年5月末日に一括で返済すること」と定めていた場合は、具体的には23年の5月31日に 「期日がきたので返済しなさい」と請求することができます。

5月30日までは返済しなくても約束違反でないため、Aさんは債権という権利を行使する(例えば貸した金を返しなさいと請求すること)ことはできませんが、5月31日の午前0時を過ぎると債権の権利行使ができるということになります。

しかし、5月31日を返済期日とすると言うことは5月31日の午前0時に返しなさいということではなく(返済するときを時間単位で設定した場合を除く)5月31日の午前0時から午後12時までの間(終日)に返しなさいということなので、例えば、5月31日の午後3時に返さない場合でも法律上は約束違反と言う話にはなりません。

しかし、債権者は返済期日である5月31日に権利を行使できるのでその日には貸金を返しなさいと請求することはできるのです。

民法166条の条文上は5月31日の時点から消滅時効の期間が開始されます。しかし期間の計算は民法の初日不算入の原則に従い(民法140条 初日を期間に入れない)6月1日から開始されます。

時効の起算点は平成23年6月1日となります。

そしてAさんとBさんの返済方法は、平成20年の5月末日から毎月末に1万円づつ返済するという約束で、 なおかつ1回でも返済を怠れば、全額を一括で返済すると言う約定があるので、毎月の返済期日に1万円の 支払いが無ければ、その翌日から債務の(残額の)全額について債権を行使できるし、債務残額の全額についてその 日を起算点として消滅時効の期間が開始することになります。

Bさんは平成23年6月末日の支払いを怠っているので、7月1日から消滅時効の期間が開始されます。Bさんに貸した債権が商事債権(消滅時効の期間は5年)であれば、28年6月30日に消滅時効の期間が満了しますので、28年7月現在では消滅時効が完成しています。

そして主債務者のBさんが行方不明になっていてもC社が保証人として主債務の消滅時効の援用※1をすることができます。

※ 1
時効の援用とは、時効によって利益を受ける者が(援用権者)が時効の成立を主張すること。
時効による権利の取得・消滅は期間の経過により自動的に発生するものではなく、援用があってはじめて確定的に取得の権利が生じたり、権利が消滅する。

Bさんの債務が民事債権によるものであれば、Bさんの消滅時効の期間は10年なので、28年7月時点では消滅時効は完成していません。

この場合でもC社は自社債務である保証債務の(消滅時効の期間満了による)消滅時効の援用をすることはできます。

以上は時効の中断について考慮しないで時効期間を計算しましたが、本事案では、BさんはAさんに平成24年1月に5000円弁済しています。

「弁済」は債務の承認とみなされ、時効の中断事由となります。(民法147条)

そして約定どおりの金額でなくても「承認」となるので、平成24年1月15日に時効の中断が生じます。

そして新たな時効期間は同日から開始されます。(期間の計算は民法140条により翌日から計算)そうすると商事債権の場合、 主債務の消滅時効期間満了は平成29年1月15日(民法140条、143条2項により、初日不算入による計算)となります。

民事債権の場合、平成34年1月15日となります。

保証人の保証債務と主債務の関係

BさんがAさんから借りた債務について保証人C社がいる場合、Bさんの債務を 「主債務」C社の債務を「保証債務」といいます。

主債務の保証債務への影響

主債務が弁済等により消滅した場合は保証債務も消滅します。(付従性といいます)

そして主債務が消滅時効期間の経過により消滅した場合についても、保証債務も消滅します。

保証債務の主債務への影響

保証債務が消滅時効等により消滅した場合は、 主債務は消滅しません。

また、 保証債務について時効の中断があっても主債務に影響しません。
(民法148条)
「前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。」

しかし、主債務に時効中断があった場合は、保証債務の時効も中断するとされています
(民法457条1項)
「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。」

Bさんの主債務が民事債権であれば、Bさんの主債務は現時点(28年7月)では消滅時効は完成していません。

しかし、C社の保証債務は商事債権なので、現時点(28年7月)で消滅時効が完成している可能性があります。

28年6月30日に消滅時効期間が満了したとすると、C社は翌日、消滅時効の援用による債務の消滅を主張できます。

Bさんの主債務が商事債権による債務であれば主債務も同日消滅時効が完成しています。

そしてC社は、Bさんの主債務が商事債権による債務であれば(消滅時効が完成しているので)、主債務の消滅時効も(同日完成しているので)援用できます。
(大正4年7月13日大審院判決 保証人が主債務の消滅時効の援用ができる)

この場合、消滅時効が完成する時点までにAさんが(Bさんに対して)時効の中断の措置をとっていれば(訴訟提起等)時効の中断となり、主債務は消滅しません。

(行方不明者に対する訴訟手続も公示送達手続により行うことが可能です)

そして主債務に生じた時効中断は保証債務に及ぶので(民法457条1項)C社に対しても保証債務の履行を請求できます。

時効の中断(新法での更新)よる影響

本事案では、BさんはAさんに対して平成23年6月末日以降返済をおこたっており時効期間は開始されていますが、 Bさんは平成24年1月15日に5000円の弁済をしています。

弁済は債務の承認となり、時効の更新(中断)事由とされていますので(新民法152条)その日から新たな時効期間が開始されます。

上記「時効期間の算定」で説明したとおり、主債務が商事債権によるものであれば平成29年1月15日、 民事債権であれば平成34年1月15日が時効期間の満了となります。(旧法の説明 令和2年4月1日以前の権利関係に適用)

そして上記説明の通り民法457条1項により、 主債務に生じた時効の中断は保証債務に効力を生じますので、C社の消滅時効は商事債権なので、29年1月15日に期間満了となります。

よって、C社に対しても28年7月時点では消滅時効は完成していないので保証債務の請求をすることが可能です。

その他の事項

また、C社が「債務者が行方不明であれば、当社は保証債務の履行義務がない」といっているようですが、 C社とAさんとの「保証契約書」にその旨の条項がなければC社の主張は根拠が無く無効です。

また、(余談ですが)もし保証契約を口頭で締結していて当初から契約書面がない場合(紛失した場合でない)ですが、その場合は保証契約が法的に成立せず、保証契約自体が無効となります。

(民法446条2項 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。) 

        

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