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藤田司法書士事務所 債権回収・売掛金・代金請求  
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                債権回収Q&A5

トップページ>債権回収Q&A>Q&A5

         
           債権回収/売掛金・代金・貸金の請求について
     疑問、質問についてわかりやすく解説します。
             
         

     Q5 譲渡担保とは?
      
〜動産に対して担保権を設定し、債務者が使用収益できる方法〜

           当社(Z社)はA社に対して売掛金を有しています。
      A社からの返済の約束が履行されないので、法的手段を取ると通知した
      ところ、担保を差し出すから猶予をくれと言ってきました。

      A社所有の不動産には他の金融機関による抵当権が設定されていて、
      担保余剰価値がありません。
      現在、担保価値があるのは、A社の工場で稼動しているA社所有の
      機械類になります。

      しかし、機械は動産になるので、動産に担保を設定するのは、
      動産質権だと聞きました。
      質権の場合は、対抗要件※1が「占有※2の継続」だと聞きました。
      当社が占有を継続すると、A社は機械を使用することができなくなり、
      A社は商品を生産することができなくなり、営業が出来なくなり
      (=売上も無くなる)
      A社から債権回収したい当社も困ってしまいます。
      良い方法はありませんか?

                ※1対抗要件とは
                   
当事者間で成立した法律権利関係を第3者に主張
                   する(効力を有する)ことのできる法律上の要件のことです。
                   

         要件とは一定の法律効果を生じる為に要求される事実、事実関係
                    のこと

        ※2占有とは
           
自己のためにする意思で物を所持する行為をいいます。

         A5


         動産に担保を設定させて、債務者に使用収益させたい

     Q&A4「動産抵当」で解説したように、動産に抵当権を設定できるとすると、
     A社も機械の使用収益が出来、万事解決なのですが、登録、登記の手段が
          無い動産については、動産抵当ができるという法令が無い為に、抵当権の
          設定はできません。

          (工場低当法により、工場、土地、工場にある機械等を工場財団として組成
           した場合は抵当権の対象とすることができます。
          本件のケースでは工場財団の抵当権設定をせずに、譲渡担保を設定するこ
     とを前提として譲渡担保について説明します。)
    工場財団に対する工場抵当については「工場財団」をごらんください。

          動産質権だと、A社からZ社に占有を移転しないといけない(とりあげる)
          ので、A社が機械を使用できなくなり、A社は収益が無くなり、Z社にとっても
          困ってしまいます。

         動産抵当、動産質権、抵当権の詳しい解説は「Q&A4 動産抵当」をご覧
          ください。

          動産を「抵当権」のように債務者に使用収益させて、担保権として優先弁済
          を受けることはできないのか?
          それには「譲渡担保」を利用するのが最適です。

          譲渡担保

         「譲渡担保」とは担保にしようとする債務者所有物の所有権を債権者に移転
          し、履行期日に弁済すれば、債務者に返還すると言う担保制度です。

          譲渡担保は、法令で定められている担保物件ではありませんが、実際上
          の必要性から行われていて、判例により有効とされたものです。

          譲渡担保の種類

         譲渡担保には、2つの類型があります。
         一つは、担保の目的物を売り、売却代金を受け取り、一定の期間に買い
         戻す形で、買い戻す時期までは、債務者は賃料を払って、担保物を借りて
         使用収益ができます。 (「買戻し」、「再売買の予約」であるといえます)

         当事者間に消費貸借契約の関係は残りません。(売渡担保と呼ばれます)

        一つは、消費貸借契約を結びその債務の担保のために、借主が、担保物
        を貸主に所有権を移転し、借主は、賃料を払わずに担保物を借りて使用収
        益ができます。       
    一定期間内に消費貸借契約で借りた金員を返済すれば、所有権が借主に
        戻る形です。

         前者は所有権は完全に移転する。
         後者は所有権は移転するが、担保目的により制限されます。

        所有権を取得した貸主は、担保目的外で担保物を処分することは出来ません。
        担保目的物を履行期日前に勝手に処分した場合は、借主である元の所有者
        に損害を賠償しなければなりません。

       所有権的構成と担保権的構成

       譲渡担保の考えには、担保権者に所有権を移転する
       (但し、清算目的の範囲内に限る)所有権的構成、
       担保権の設定のみで所有権を(担保権者に)移転しない
    担保権的構成の考えがありますが、判例の考えである所有権的構成
       で以下説明します。

       販売物品であり、収益の対価である商品を対象とする譲渡担保の場合

       そして、譲渡担保の担保とされる目的物は、上記の物品(収益の手段で
       ある生産用機械のような物品)以外に倉庫にある在庫商品の全部を集
   合動産として譲渡担保として設定することが可能です。

       その場合、倉庫にある在庫商品を販売することにより、借主が利益を
       上げることが債権者も債務者も共に望むことなので、倉庫の商品を
       「通常の営業の範囲を超えない」売却であれば、貸主である担保権者
       はその商品の買主に対して自己の担保権を主張する必要は無いですが、
       借主である販売業者が倉庫の商品を「通常の営業の範囲を超える」売却
       をした場合は、(例えば、法外な低価格、若しくは、無償で第三者に譲渡し
       た場合は、)貸主は、借主が譲渡した相手方に自己の担保権の主張をする
       ことができます。

      対抗要件について

      対抗要件とは当事者間で成立した法律権利関係を第3者に対して主張する
      (効力を有する)ことのできる法律上の要件のことです。
      要件とは一定の法律効果を生じる為に要求される事実、事実関係のこと

   対抗要件1

   引渡し 

   動産譲渡担保の対抗要件は、引渡しです(民法178条)

   本件で言うと、A社は自社工場の保有機械について、Z社に引き渡すこと
   により、A社とZ社以外の第3者にも対抗することが出来ます。

   対抗とは当事者間で成立した法律権利関係を第3者に主張する
   (又は当事者間の法律の効力を第3者に対しても有する効果の)ことです。
   例えば、Z社は第三者であるB社に対して、A社の工場の機械はZ社が担保
   として所有権の移転をうけているので、B社がA社から買い取ってもB社に対
   して、B社が買った機械についてZ社の担保的効力(優先弁済権がある)があ
   ることを主張できるということです。

   逆に対抗要件を具備していないと、B社に主張できないと言うことになります
   譲渡担保の対抗要件は占有改定による引渡しについても(判例により)対抗
   要件として認められます。

   {昭和30年6月2日最高裁判決、昭和62年11月10日最高裁判決
    (集合動産についての譲渡担保)}

   この点が、動産質権との相違であり、動産質権は占有改定による占有が
   質権設定の効力としても第3者対抗要件としても認められません
    (民法344条、345条、大正5年12月25日大審院判例)

   占有改定とは自己の占有物を自分の手元に置いたまま、他人に占有を移転
   する占有の形態です。

   動産譲渡担保は、債務者に担保物を使用収益させていても、第3者に対抗
   できるということ(動産質権に比較して、抵当権と同様に債務者に使用収益
   させながら、優先弁済権を対抗できるということ)が最大のメリットです。

   「第3者に対抗できる」ということの具体例

       占有改定による占有により、第三者に対抗できるということは、どういうこと
       でしょうか?
       以下、説明します。

       Z社がA社に対する債権の担保のためにA社の工場の機械に譲渡担保の
       設定をうける取り決めをA社とした場合、A社が営業のために機械を使用
      するので、A社の工場に担保物である機械をおいたまま

      {譲渡担保契約をする以前はA社の占有ですが、譲渡担保契約後には、
       占有がZ社に移り、A社はZ社の代理占有をしているという形になります。   
    しかし外形的には、変化がないので、A社Z社間の契約を知らない人には
      (機械の占有移転については)わかりません。}

       譲渡担保として所有権を移転したという形になります。
       そして、A社が第3者であるB社にZ社の譲渡担保の目的である機械を売った
       とします。

        しかし、Z社は譲渡担保について対抗要件を有しているので、
        (占有改定による占有)B社に対してZ社の担保権的効力を主張することが
       できます。

        具体的にはA社が債務不履行になった場合に、Z社はB社が買った機械に
    ついて 不履行の金額について優先弁済権を得られることを主張できます。
        しかし、占有改定という占有状態は外形的にはわかりづらく、他人の占有に
        なっているかどうかは、わかりません。

       即時取得

       外形的にはA社の占有状態が継続しているように見えるので、A社の機械
       がZ社の担保権であることがわからない場合、A社の機械を担保権の存在
       を知らないで買った人は損失を被ります。

       取引の安全が脅かされることになります。
       民法では、このような場合「即時取得」という規定があります。(民法192条)
       即時取得とは動産について権利を持ってない人から、過失無く、その人が
       権利者だと信じてその動産を平穏、公然に取得した人は権利を取得できる。
       という制度です。

       即時取得の具体例

       具体的にいうと、AさんがBさんに壷を売ったとします。
        しかしAさんが売った壷はCさんのものでAさんはCさんから借りていただけ
       だったとします。

       その場合、BさんがCさんのものだと知らなくて、また少し注意したらCさんの
       ものだとわかったという状況にも無い場合
       (例えば、壷の表面に「所有者C、Aさんに貸してるだけ」と書いていたとかいう
       状態で無い場合、無過失といえます)

        また、Aさんから強奪したわけでもなく(平穏に取得したといえます。
        公然とは隠避で無い場合です)Bさんは適法に所有権を取得できます。

        すると本当の所有者であったCさんから返還してくれといわれても拒絶する
        ことが出来ます。
        これが「即時取得」といわれる制度です。

        通常の注意力では他人の者であるとはわからない状況下の取引で、
        取引者(Bさん)が適法に取得することができることにより、取引の安全を
        守る効果があるといえます。

        譲渡担保契約でのリスク

        話をA社の機械に戻しましょう。
        そうすると、A社から機械を買い取ったB社が上記「即時取得」の要件
        (法律効果の取得のために必要とされる条件)を満たしていた場合、

        {1、善意=売主に権利が無いことを知らなかった 
          2、購入者に過失が無いこと、
          3、平穏、公然に取得したこと
          4、取引により動産の占有(占有改定によらない占有であることが
               必要 昭和32年12月27日最高裁判決)を始めたこと}

         B社は譲渡担保の設定がされていない機械の所有権を取得したことに
         なります。
         そうすると、判例で認められた第3者対抗要件である「占有改定」の状態
         の譲渡担保は、担保の効力が消滅するリスクがあるといえます。

         通常、譲渡担保は、既に説明したとおり、占有改定の状態での担保権効力
    があるところにメリットがあるといえるので、占有を債権者に移転するので
    あれば、譲渡担保でなくても良いわけです。
    (質権を設定すればよいわけです)

    リスクを軽減するには

    譲渡担保の担保物である動産に「これはZ社が譲渡担保として所有してい
    る」旨の公示をする(説明文の張り紙をする等)等の方法により、上記リスク
    を軽減できると考えます。
    また、以下の「対抗要件2」で説明する「動産譲渡の登記」をする方法も
    リスク軽減手段のひとつであるといえます。

    対抗要件2

    動産譲渡登記

    また、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に
    関する法律」3条1項により、法人が動産を譲渡した場合に動産譲渡
    登記ファイルに譲渡登記がされたときに民法178条の(動産譲渡の対
    抗要件である)引渡しがあったものとみなされます。

    債務履行がされない場合

    債務者が履行期日に債務の履行をしなかった場合には、担保物を債権者
    が売却又は評価して清算し、残金があれば債務者に返済しなければいけ
    ません。

    残金がある場合に担保物全部を(清算せずに)債権者の所有物としてしま
    うことはできません。(昭和46年3月25日最高裁判決)

    不動産の譲渡担保

    不動産を担保物として「譲渡担保」を行うことができます。
    第3者対抗要件は「不動産登記」による方法となります。

    不動産についての他の担保物件との相違点は、(担保権に基づく、又は
    担保権によらない)不動産執行であれば、「不動産競売手続」を申立てる
    ことになりますが、複雑な手続で、費用や時間がかかります。

    譲渡担保は所有権が債権者に移転されているので、競売手続によらず、
    時間や費用はかからないメリットがあります。

    他の方法による担保設定

    本件の場合(債務者が工場にある機械を担保として設定する場合)は、
    動産質権、譲渡担保による担保設定の方法以外に「工場低当法」に
    基づく工場財団の担保設定の方法があります。

     工場財団

    工場財団とは工場建物やその敷地、工場の設備(工作物、機械、電柱、
    電線等)等から構成され、工場財団登記簿に所有権保存の登記をする
    ことによって設定されます。(工場低当法9条)

    工場財団は、工場低当法により、不動産とみなされ、工場財団に抵当権
    を設定するもので債務者は使用収益ができます。

    工場を構成する土地建物機械器具等は有機的に結合して不可分の一体
    物その機能を最大限に発揮し、担保価値も大きくなるものであり、個別に
    分離すると、その包括的価値は低下します。
    よって、工場及びその設備等を単一化して担保化する為に工場低当法が
    制定されました

    工場財団以外の担保権設定を目的とする財団

    工場財団以外に鉱業財団(鉱業低当法)鉄道財団(鉄道低当法)漁業財団
    (漁業財団低当法)等があります。

   

  








      債権回収の具体的受任サービス案内

     当事務所の債権回収の受任サービス内容についての具体的な例示
     事項は下記のとおりです。

     下記に項目がない場合でも、対応できるサービスは多数あります。
     お問い合わせください。

     売買代金(売掛金) 
     小売店の売買代金、飲食店の飲食代金、部品、出版物、
     その他様々な売買代金(物を売ったが、代金を払ってくれない)

     請負代金 
     デザイン、看板、設計 ○○製作 修理、

     請負工事代金 
     建築工事、リフォーム工事(内装・外装工事)

     養育費、慰謝料の請求
     
離婚した元配偶者が養育費を払ってくれない。

     医療機関、歯科、美容整形等の医療費・診療報酬

     レンタル代金、リース代金

     各種美容サービス料金 
     エステサロン、ネイルサロン、整体マッサージ

     各種学校・教室の受講料金・授業料
     
学習塾・予備校・技能学校・専門学校・
各種教室の
     (ピアノ・ダンス・絵画・茶道・パソコン・語学等)レッスン代金

     敷金返還請求
     詳しくは
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     家賃滞納に伴う建物明け渡しに関しては 「建物明渡請求」サイト
     をご覧ください

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             司法書士 藤田博巳

           

        

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